コースターブレーキは違法ではありません!!

本来であれば、先日行って来たインターバイクレポートのパート2にしようと思っていたのですが、
巷を騒がすあの事件のため、複数のお問い合わせが弊社に舞い込んで降りますので、今回はそちらのお話をさせていただきます。



件の事件というのは、「お笑い芸人の方が東京都内でブレーキのない自転車で走行したことで書類送検された」との報道です。
これは、かなり多くのメディアが取り上げていました。乗っていたのが「ピスト」と呼ばれる競輪のトラック競技用の自転車であったことも報道されています。



この報道に驚いて、「この後輪にブレーキが無さそうなビーチクルーザーはどうなんだ?!」ってなことになっちゃってるようです。
で、弊社にご連絡を頂き「公式にステイトメントを出してほしい」とのご依頼を複数の方からいただいております。というわけで、販売店様にはそのための文書をご用意いたしました。



わかっている方にはいまさら言うまでもない話ですが、コースターブレーキは「ブレーキ」であってなんら違法なものではありません。


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そもそも、わが国の道路交通法には自転車に関して「必ず時速10キロメートルで走行中3メートル以内で停止できる制動装置を前後輪に備えること」という規定があります。
この「前後輪に」というのが味噌ですね。件の事件となったピストバイクは基本的にブレーキがついていません。一般的に自転車は後ハブの中に「フリー」と呼ばれる部品が入っており、ペダルをこぐことを中断しても後輪が回り続けるようにできています。しかし、ピストバイクはここが直結になっており「ペダル停止=車両停止」という構造になっています。動いている限りこぎ続ける、競技車ならではの構造です。走行中にペダルを押さえ込むように踏み込めば理論上ブレーキをかけたのと同等の作用が生じますが、機構上ブレーキがついているとはいえません。
しかし、昨今のピストブームで、このピストバイクを公道で乗る人たちが出てきました。当然、事故につながることもあったようで、東京では昨年初めころからブレーキのついてない自転車を警察が取り締まっていました。
このような状況の中、今回の事件が報道されたわけです。



ひるがえって、私共のビーチクルーザーは日本工業規格(JIS)に合格しています。
私共は日本の自転車文化の中でビーチクルーザーの地位をしっかりと根付かせていきたいと心から願っており、これまでともすれば輪業店さんが敬遠しがちであったビーチクルーザーを普通に取り扱える環境を整えることも私共の責務であると考えています。
その上で、自転車の専門店の方が安心して販売できる車両としてJIS規格を通しています。当然、日本工業規格の中にコースターブレーキについても規定があります。つまり、ブレーキとして正式に認定されているのです。

現代では、コースターブレーキはビーチクルーザーにしか見られない独特の仕組みですが、自転車の黎明期には実用車のブレーキとして一般的に使われていました。そういう歴史的背景もあって、コースターブレーキはしっかりと認定されているのです。


今回の報道をご覧になって、「どうなんだろう?」と思われた方も多いことと思います。大丈夫です、だらだら走りましょう。


J / Rainbow